健康保険を使った施術はできるのか?マッサージ編

よく聞かれる質問のひとつに、「健康保険を使って施術はできますか」という質問があります。
鍼灸とマッサージで違いがあるので、別々にみていきます。

マッサージの場合

厚生労働省で定められている、健康保険を使った治療の対象は、

「一律にその診断名によることなく筋麻痺・関節拘縮等であって、医療上マッサージを必要とする症例について支給対象とされるものであること。」
厚生労働省webサイトより]

と記載されています。

つまり、【この疾患でなければ保険は使えません】というわけではないということですが、疲労回復や慰安でのマッサージでは適用されません。

医師の「同意書」が必要

健康保険を使ってマッサージを受けるには、医師の同意書が必要です。
1度切りでなく、マッサージを受けている期間の数か月ごとに発行していただく必要があります。
(この期間は法改正によりその時々で変わっています。現在は6カ月ごと)

この同意書ですが、あくまで「筋麻痺・関節拘縮等」ですので、健康でそれなりに動ける方に適用されることはほぼないと思われます。
多くは何らかの疾患を抱えている方や高齢者の方が多く利用されています。

具体的な疾患名

よくある疾患としては

・脳梗塞後遺症
・パーキンソン病
・大腿部頸部骨折後
・変形性脊椎症

などがあげられます。
上記はあくまで「よくある疾患」ですので、他にもリウマチ、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や多発性硬化症、脳性麻痺など様々な疾患の方が実際にマッサージを受けられています。

保険で訪問治療も可能

・歩行困難
・安静を必要とする
・通所して治療を受けることが困難

などの場合、ご自宅や施設にマッサージ師が訪問しての施術が可能です。
実際保険を使ったマッサージはこのパターンが多く使われているかと思います。

この場合「往療料」といういわゆる交通費が施術費のほかにかかり、これは距離によって少し違いがあります。
2018.11.14現在では

拠点(治療院のある場所)または前の訪問先から
4km以内(2,300円)
4km以上(2,700円)
の2パターンあります。
カッコ内の料金は保険適用前の料金ですので、1割ご負担の方だとそれぞれ230円 or 270円ということになります。

この料金は法改正による変更がかなりあるので、患者様のご負担料金もその時により変わることがあります。

施術の内容

上記の状態の患者様の麻痺や筋力低下に対してマッサージや関節可動域訓練、出来る方は筋力強化訓練をおこない、
ADL(日常生活をおこなう動作)やQOL(生活の質)の維持向上を目的とし施術をおこなっていきます。

マッサージをしていくことで、血流を良くし、筋肉を動かしやすくすることで、少しずつ自分でできる動作を増やせるようにしていきます。
自分で体位変換ができる、車いすへの移乗がつかまればできる、なども日常生活を送る上で大変重要です。
その日の体調や調子に合わせ、歩行訓練、移乗訓練、立ち上がり訓練、寝返り・起き上がり動作などのリハビリを取り入れながら行うことも可能です。

とくに寝たきりになりがちな方は、関節拘縮が進みやすいので、関節をしっかりと動かすことで拘縮予防をおこないます。
関節が硬くなるとご本人が辛いのはもちろんですが、着替えなどで介助者にかかる負担も大きくなります。

また、いつも会っている家族などではなく外部の人間が関わることで、とくにあまり外出のできないお年寄りの方などはそれ自体が良い刺激にもなり、生活を送る上での活力になったり、歩けるように頑張ろう!という意欲に繋がることもあります。

施術費

同意書の内容により多少変わることがありますが、マッサージだけであれば最大1,700円(1割ご負担の場合170円)となります。

訪問の場合はこれに上記の「往療料(交通費)」を足したものが実際のご負担額ですので、
1割ご負担の場合、だいたい1回につき400~440円ということになります。
(2018.11.14現在)

また、障害者手帳(マル障)をお持ちの方などはより自己負担が少なく受けられる制度もあります。

患者様・介助者の方、それぞれの負担を減らせるように。

体が思うように動かなかったり、外出もあまりなくほとんどをベッドの上で過ごされたりだと、誰でも落ち込んでしまうと思います。
実際後ろ向きな発言をされる方も多く、また介護の疲れなどでご家族の方もかなり疲れ切っていることも多くみられます。
施術を通して少しでも患者様の体が少しでも楽になり気持ちよく生活が送れるよう、
また介助する方の負担が少しでも減らせるように。

マッサージは1日の中でみるとかなり短い時間ではありますが、週に何度か継続して関わることで、患者様の体調面や心理面の手助けができればと思います。
訪問医療マッサージを受けられる方には、お医者様・相談員の方・ヘルパーさん・リハビリの方などの様々な専門家がついていることが多くありますが、
その「頼る専門家」のうちのひとつととらえていただき、困ったことがあったらご相談いただければと思います。

訪問マッサージを希望される方へ

こちらのフォームからアンケートにお答えいただけるとスムーズにご訪問ができます。

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